天宮華月様から頂きました♪ 月牙より『コマ』です♪

天宮さまのキリ番をまたまた踏みました!

そして描いていただいたのです〜!!

今回は、コマさんの過去の一部分です

本当に皆さま配置や魅せ方が上手!!!

白と黒の世界の中に、赤が印象的で。

コマさんの苦しみが、伝わってきました

 

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  夢は、唐突に景色を変える。
  そして、見たくもないモノを、いつだって容赦なく――鮮明に。

  男から女子供まで、気がつけばコマの足元に倒れこみ、絶命している。
  かぎたくもないにおいまでが、夢だとわかっているのにまとわりついてくるようで。
  血にまみれた右手を見下ろし、コマはぎりと歯をかみしめた。

  いつか――いつかこの夢が薄れる日がくるのだろうか。

  そう考え、すぐに弱々しく首を振る。
  おそらくこの風景だけは、悠久の時が流れようとも自分の中から消え去りはしないだろう。
  いや、けっして忘れてはならない自分への戒めでもあるのだ。

  右手を見つめたまま、その夢は急に色を失い始める。
  だが、血のにおいやその手についた液体の色だけは、失うことはない。
  雪が、辺りを包み込む。まるでその凄惨な夢を覆い隠すように。

    *

  ふとコマは目を開けた。
  楓がコマの背に手をやって、心配そうな顔で覗き込んできている。
  浅い眠りは、ろくな夢を見ない。と、小さく頭を振って、獣の頭を持ち上げた。

 「気付かなくて悪かった。どうした、眠れないのか?」
 「うん。ちょっと、カッターで指切っちゃって」
 「ってゆーか。眠る気がなさそうだな」

  目を丸くしたコマに、何が嬉しかったのか楓はその指を見せながら楽しそうに笑う。

  指を切った時に出た、わずかな血液のにおいが『あの夢』を見せたのだろうか。
  あの恐ろしい光景を優しく覆い隠した雪は、楓の力のおかげだろうか? とも思う。
  コマは、大きく息を吐き出した。

 「コマさん、すごくうなされてたけど大丈夫?」
 「ああ、いつもの事だ。気にする事はない」
 「……いつも、なの?」

  怪訝な表情になってしまった楓に、コマは口が滑った事を後悔した。
  どれだけ激しくうなされていたとでもいうのか。
  眠っている本人には、知る術はない。

 「何を見たのかは、分からないけど。大丈夫、大丈夫だからね? 私はどんな事があったって、コマさんの傍にいるから」

  楓の言葉に、コマは押し黙る。
  その空気に耐え切れず、楓は言い直した。

 「ううん。コマさんの傍に、いさせてね?」
 「……ああ、そうだな」

  動揺する自分と素直に嬉しく思う自分がせめぎあい、コマは視線を外す。
  そして目についた彼女の細い指先。

 「楓、手当てはしなくていいのか?」
 「ああ、これ? 水で洗ったし。これくらいならなめておけば治るかと思って」
 「そうか」

  新しい傷口からは、血のにおいが強くしている。
  なめれば治るのかと、彼女が見せてくる傷口に濡れた鼻先を近づければ、楓は慌てて後ろ手に隠してしまった。
  コマは少し不思議そうな顔をして、耳まで赤くなった楓に首をかしげる。

 「どうした?」
 「こ、コマさんって。時々びっくりするような事するよね」
 「……そうか?」

  そうだよ。と言って立ち上がり、楓は動きの鈍い足で逃げるように階段に向かった。
  怪我に対して、自分の治癒能力が高い事を知っているコマは、自分がなめる事で、楓の指も早く治るかと思ったのだが――

  ――楓の指を、なめる?

  ふとその事実に気がつき、コマは思わず伏せの姿勢から飛び上がって『オスワリ』をした。
  その挙動不審な態度に楓が気付き、彼に向かって苦笑する。

 「ね? びっくりするでしょ?」
 「ああ、その……悪かった。早く治ればいいと思って、その」

  しどろもどろなコマに、楓は楽しげに声をあげて笑った。

 

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天宮華月さま、本当にありがとうございました!

 

 

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