愛田美月様から頂きました♪ 月牙より『楓』です♪

我がブログ、黄金の穂波亭が5000hitを迎えた時に

愛田さまが描いてくださったのです!

めんこいめんこい楓ちゃんだ〜〜〜vvv

ピンクが似合うっ! と心奪われまして

小説内でもラストの辺りで装着させております♪

そしてもうひとつ!

なんとセリフつきをっっ!!!

コマさんっ! 早く迎えにこいこーいっ!

という事で盛り上がっちゃったのが、こちら☆

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 「またこんな日に呼び出して……」
 

  近所の公園まで楓父に送ってもらったのだが、呼び出したはずのコマがまだこない。
  満月はゆっくりと上空に浮かびあがり、白く輝いている。
  きっと狼の姿で現れるだろうと、首輪とリードを取り出しておいた。
 

 「コマさん、まだかな」
 

  辺りを見回しても、ご近所さんの家の明かりが見えるだけ。
  日暮れも早くなったこの季節、いつにも増して寒いと思っていたら、ふわりと雪が舞いはじめる。
  新調したピンクのコートに、楓父がプレゼントしてくれたピンクのマフラーと同色のミトン型手袋をして、コマを待つ。
 

 「……寒いな。帰っちゃおうかな」
 

  公園のベンチに座っていると、あまりにもな寒さに凍ってしまいそうで。
  立ち上がってはその場でウロウロして、また座る。
  辺りの冷たい空気に、おいしそうな匂いが漂い始める。
  どの家も夕食時なのだろう、楓は冷たいベンチから立ち上がった。
 

 「よし、帰ろう」
 「楓!」
 

  灰色の大きな獣が白い息をあげて走り寄った、と思ったら通り過ぎて草むらにダイブする。
 

 「あ! お嬢ちゃん、こっちに野良犬がこなかったかな? 結構大きな犬が」
 

  灰色の作業着を着たおじさん二人が、息せき切って声をかけてきた。
  おそらく保健所の人間なのだろう。
 

 「……いえ、来てないです」
 「そうか、どこ行ったんだ。お嬢ちゃん、危ないから送っていってあげるよ」
 「ううん。家はすぐそこだから」
 「そうかい? 本当に大きな犬だったから、気をつけるんだよ」
 「はい」
 

  心配そうに何度も振り返りながらも、二人は走っていってしまった。
  それを目だけで見送って、大きなため息を吐く。
 

 「コマさん、また追いかけられてたの?」
 「ああ、すまない。もっと早くに着ける予定だったんだが」
 

  極力音をたてないように、草むらから抜け出すコマ。
 

 「いいよ。寒いし、帰ろう? あの人たちが戻ってくる前に」
 「ああ……あ、待ってくれ」
 「何?」
 

  コマは自分の首にくくりつけられている服とは別の小さな箱を、楓に見せる。
 

 「楓にプレゼントをあげる日だと聞いた」
 「私に!?」
 「そうだ」
 

  ミトンを外して、楓は目を輝かせて小さな箱をコマの首から外す。
 「開けていい?」
 「ああ、楓の物だからな」
 

  手がかじかむ事も気にならず、楓は包みをはがして期待いっぱいに箱を開けた。

 「……何? これ」
 

  レンズのような物が入っているだけ。
  さすがに楓も首をかしげざるを得なかった。
 

 「雪の結晶が見えるガラスなのだそうだ。今はやっていて、女の子に人気と言っていた」
 「誰が言ってたの?」
 「店の人間だ。何にしたらいいのか考えていたら、コレが一番いいと言われてな」
 「そう。どうやって使うの?」
 

  暗くなった公園に沈黙が落ちる。
 

 「これで雪を見るだけと言っていたが……思えば役に立たない物だな。すまない」
 

  あからさまに頭をたれてしまったコマを見て、楓はくすりと笑う。
  ミトンに落ちた雪を見て、楓はそのレンズを取り出し覗き込んだ。

  枝分かれした、不思議な形。これが結晶と呼ばれる物なのだろうか。

 「これ、面白いね! ありがとうコマさん、嬉しいよ」
 「しかし、腹の足しにもならなければ……」
 「そんなのいいよ。だって私が嬉しければいいじゃない♪ 今度、これでコマさんの目とか鼻とか見させてね」
 「……それが楽しいのなら」
 「楽しいよ」
 

  明るい笑い声をあげ、コマに首輪をかけてそれを持つ。
  おそらくまた外で待っているであろう楓父を考えながら、コマは盲導犬のようにゆっくりと彼女を支えて家路へと足を向けた。
 

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愛田美月さま、本当にありがとうございました!

 

 

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