こーた様から頂きました♪ 時間シリーズより『三人組』です♪

やっぱり時間シリーズは、桜(の樹)の印象が強くあります。

切なさの中の強さに、心がじんわりします♪

そして、桜のヘソチラっ!(そこ?;

こちらもおまけ小ネタ掲載しました。よかったら♪

 

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  わずかに残された桜の木の下を、言葉少なげに帰宅路を進む三人組。
  海斗は、ふと顔をあげた。

 「あのさ、言ってなかった気がするんだけど。桜、桜並木を守れなくて、ごめんな」
 「はぁ? いまさら? ……何言ってるの、大丈夫よ。分かってるから大丈夫! ありがとう、海斗。ついでに葉もね」
 「なんだよ、ボクはおまけかよ。まあ、いいけど? 海斗の株を必死で上げるボク。誰か! そんなボクを素敵と言ってくれる女子はいないのか!」
 「いないだろー」

  海斗が軽く笑ったが、すぐに真顔で散り始めている桜の花びらに目を奪われる。
  その時、一陣の風が、みんなの髪で遊ぶように通り抜けていった。
  桜のセーラー服のすそがフワリと持ち上がる。しかし、それに気がついたのは、当人と後ろを歩く葉だけ。

 「海斗! チャンスだぞ!」

  悲鳴にも近い歓喜の叫びに、その声の意味に気がついた桜は顔を赤くして振り返り、その意味が分からない海斗は怪訝な顔で同じく振り返る。
  葉はおおげさに頭を抱え、ひょろっとした身体をくねらせた。

 「お前はなんでタイミング悪いんだよ!」
 「葉!!」
 「はあ? なんのことだよ、意味わかんねーし」
 「だーかーらーっ! 今の風で! 桜の腹がチラリの、ヘソ見せ……」

  じだんだを踏む葉の正確な説明に、桜が学生カバンを振り上げた。
  わざと悲鳴をあげながら逃げる葉に、桜が耳まで赤くして追いかける。
  海斗も目を丸くして赤くなったが、なかなか帰ってこない二人に、小さく笑う。

 「海斗まで!」

  本気で葉を追っていたと思っていたのに、桜の怒りが海斗にも向けられる。
  すかさず葉が海斗を盾にするように回り込み、大きな舌を出した。
  振り上げられるカバン、悲鳴をあげ押し合う二人。

  すぐに三人の笑い声が響き渡る。
  一本の桜の木は、そんな風景をただ静かに見守っていた。

 

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こーたさま、本当にありがとうございました!

 

 

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